まめカメラ

まめのカメラブログ

カメラが好きな八王子在住 28歳のブログ

森山大道づくしの1日 過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい

ついに、

ついに!!

観てきました!

森山大道さんの映画!!


過去はいつも新しく
未来はつねに懐かしい
写真家 森山大道


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この映画の存在は半年以上前から知っていて、本当は4月末に上映予定だったんだけど緊急事態宣言によって映画館が休館になり、公開遅延していた。
緊急事態宣言延長になり、映画館は休館解除となり、やっと公開されることになった。

いやー、待ちに待ちました。
本当はこの映画を待って、観賞したあとにRICOH GR3を買おうと、そこまで我慢しようと考えていたけど、ここ最近の記事を見ればわかるように2月末に我慢出来ずにGR3をお迎えしております。
最高のカメラなので後悔はないし、GR3って選択肢は森山大道さん無くして有り得なかったんだ。
なので、僕の今の写真、ストリートスナップのマインドは森山大道さんからかなり影響を受けている。
そんな人のドキュメンタリー映画がやるなんて聞いたら観ないわけがないよね。


で、しかも渋谷PARCOの映画館だと隣で写真展までやってると言うじゃないか。なーんだそれもう渋谷行くしかないじゃないか、と。


という事で、ハイ







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まずは
写真展「はじめての森山大道から。


はじめて、ではないけど森山大道さんの写真展に行くのは初めて。大道さんも「写真は印刷しなきゃ」と質量を与えることを重要視しているので僕もそのプリントの良さを味わいたかった。

入口からすぐ、森山大道さんの紹介がある。



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そしてたくさんのモノクロ写真



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世界に1台だけの森山大道モデルのカブ
そんなんあったんだ笑



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物販も充実している
森山大道さんの写真展全部揃ってるんじゃないか?と思うくらいすべて森山大道さんの本



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撮影可だったのでGR3で撮りまくったんだけど、まぁスマホで撮ってる人の多いこと。大道さんの写真展なのにコンデジじゃないんだ…ってなった。

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そして、一番グッときた展示、というか言葉





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『ぼくが撮ったからといって世の中何一つ解決しないけれど、でも
ぼくは撮らなければ、僕自身についてすら見えてこないしね。』



なんのために写真を撮っているのか
写真を撮ってなんになるのか
なんて考えてしまうことがあるけど
そんな時にこの言葉を見返したい。

別に世の中に影響なんて与えなくて良いのだ。
カメラを通して、写真を介して
自分がどんな人間なのかを知る。

絶対的な本質がそこにある。
これでもう深く悩まずに済みそうだ。


展示された写真も、一つ一つが濃密なエネルギーを含んでいるようだった。
アレ、ブレ、ボケ なんて言われるけど、同じように撮ろうが僕には撮れないだろうなぁと思った。無理だあれは、大道さんしか無理だ。


写真展で森山大道さんという写真家の巨大さを目の当たりにしたところで、さぁ本番、映画だ。


映画では
実際にストリートスナップをする大道さんを追った映像や、
写真集作成の打ち合わせをする大道さん、
写真論を語る大道さん、
大道さん大道さん!
2時間ずーーっと大道さん!
それもそうだ、大道さんの映画なのだから。


大道さんがストリートスナップしている姿は貴重で食い入るように観てしまった。

あ、ひとをとる時は片手でパパっと撮ることが多いけど、看板とか静物の時はちゃんと両手添えるんだな、とか

結構腰屈めて撮るんだな、とか

カラーで撮ってパソコンでモノクロ現像してるんだ、やっぱり現像を重要視してるんだ

ニコンコンデジばっかでGR出てこないな…とか笑


ホント貴重でした。勉強させてもらいました。


あとは50年前の写真集を復刻させる!と見返してみると、あれ今の写真と雰囲気全然変わってないじゃん、となっていてさすがだなと思った。50年だもん、そこはブレないなんてさすがだ。尊敬だ。続けるってすごい。


映画では大道さんの人柄の良さも知ることが出来た。
写真集の打ち合わせのシーンで、
大道さんが「腹減った?なんか買って来ようか?」と明らかに歳下の編集者たちに話しかけるんだけど、編集者たちは「いえいえいえ」って返事してまた仕事の話を続けてしまい、「お腹減ったんだけどな…」という顔をしながら静かになる大道さんは優しい人だなぁと思った笑


大道さんの写真は
僕の印象では音楽ならばなんだかロックミュージックみたいな、武器でいうとサバイバルナイフのような、なんだか男らしく、重厚感があって、でもその中に暖かみがある。ように思う。

ただそれを看板とか、壁とか、無機質なものからでも醸し出せるあのフレーミングの感性と絶妙なモノクローム具合は、やはり大道さんこそ、大道さんしか撮れないものだと思う。


こんだけ大道さん大道さん言っておいて
実は僕の一番好きな写真家は
Vivian Maierなんだけど
Vivianは暖かみの中に残酷さというか
人間を卑下するようなニュアンスを感じる。
幸せの中にも、日常の中にも、どこにでも残酷さというか不幸というか、ノイズは生じていて、それをテーマに置くんじゃなくて隠して写す。よくよく観るとノイズが浮き彫りになる。そんなVivianの写真が好きだし、そんな写真を僕も撮りたいなと思う。


Vivian Maier: Street Photographer

Vivian Maier: Street Photographer

  • 作者:Maier, Vivian
  • 発売日: 2011/11/16
  • メディア: ハードカバー


でもどんな手法も、作品も、芸術も
最初は名前なんてない。
モノクロでアレ、ブレ、ボケてれば大道っぽいと言われるけど、「大道っぽい写真」は最初はなかった。大道さんが撮り続けたからこそジャンルとして確立されたのであるし、大道さん自身も自分が1つのジャンルになるなんて思いもしなかっただろう。

だから僕も誰かみたいに撮ろう じゃなくて
自分の撮りたい写真を撮ろう。

撮ることで自分を知れるのだから。