まめカメラ

まめのカメラブログ

カメラが好きな八王子在住 28歳のブログ

デシケられたカメラたち

僕は今までに
カメラというものを14台購入している。


たぶん。記憶上は14台だ。
修理練習用や海外製のチープなカメラも
カウントしたら20台を超えて来る。





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「写真が好き」ならば
カメラ1台でもいいだろう。
でも「カメラも好き」の領域になると
1台でいいという信念を貫くのは
簡単なことではない。


そして、
「写真が好き」から「カメラも好き」に
成長(?)することは必然、
逃れられない運命(さだめ)である。


カメラひとつひとつに個性があり、
味があり、ロマンがあり、
そして愛着がある。

一夫多妻制ならぬ

一夫多カメラ制だ。




ただ、皆さんの防湿庫を見てみて欲しい。



はて、シャッターを切ったのは何年前のことか、
というカメラが何台かいるはずだ。
観賞用と言えば聞こえはいいが触りもしない

そこにいるだけでなんとなく安心する、
そんなカメラが何台いる。

それは釣った魚に餌をやらないどころか、
釣った魚をデシケーターだ!!!
例えが下手で意味わからなくなった。


デシケーターってことだ。
デシケーているんだ、君は。



デシケられたカメラ
「こんなはずじゃなかった」と思っている。




先にこのデシケーターに入居していた先輩方を押しのけ、
私が、私こそが主の右腕となるのだと
鼻息を荒くしていたことだろう。



─────主は私を手にしてから毎日私をバックに忍ばせ、あらゆる所へ連れていった。


ただ、ある時、主は私を見て、1度だけ首を傾げた。



その日の夜、私はまたデシケられた。



デシケられている諸先輩方が私を見て嘲笑っている!

「よォ!おかえりぃ笑」

「また会えると思ってたぜぇぇえ?!」

「これからずーーっとお前はデシケられながら俺たちとこの低湿度な空間で生きていくんだよぉお!」


─────そんな、そんな、そんなはずじゃ…


私をヤフオクで落として初めて開封したとき、
主はあんなにも目を輝かせていたではないか!
口元を緩ませていたではないか!
何日も何日も私の製品仕様を読んで
他と比較しては戻ってきたではないか!
私のためにレンズフードを買い、
ストラップまで色を統一する熱狂ぶりだったでないか!
信じろという方が難しい話だ。
私は主といつまでも旅をするのだ!
その座は譲れない!
あなた方はこの防湿庫に留まりすぎてしまった!
あぁ、湿度管理されているのに腐ってしまった!
はは!これは面白い!あなた方は腐ってカビだらけでもう主には見向きもされない!

私は違う!たとえデシケられたとしても、
必ず主はまた私を第一線に置くだろう。
こんな荒野で死を待つなんて御免だ、
有り得ない。

私はこのデシケーターから出るぞ!

必ず抜け出してやる!


─────若いの。俺もそう思っていた頃があったさ。
最新機種のパキッとした写りに飽きた主が
ノスタルジックな描写を求めてCCDセンサーの俺を迎え入れた。
35mm F1.4とはセットだったから主よりも長い付き合いだ。。。
主はそりゃー喜んで俺たちを外に持ち出しては草木や街、空を撮ってノスタルジッてたさ。
でもな、ノスタルジッてると、不思議とパキッとした描写が恋しくなるんだ。。。
ノスタルジーってのは非現実的な描写だ。
アートとも、フィクションとも言える。
俺たちゃ現実の前に手も足も出せなかったのさ。
それで、次に来たのがお前ってわけさ。
でもどうにもお気に召さなかったようだ。なぁ?そうだろう。
お前も俺たちと同じだ、
デシケられた仲間同士仲良くやろうや。
俺たちが待つのは主に使われる瞬間ではなくて、
ヤフオクで落札されて新しい主に出会う瞬間なんだよ。



─────私は、もうこの主の元では一瞬を写し留めることができない、、、?

私が生まれた目的、「写真の生成」ができない、、?!


ならばなぜ、私はここに。
ならばなぜ、ヤフオクで私を…。



くそぉ!くそぉ!!


主よ!聞いてくれ!いや、聞け!
私は写真機だ!
隣の人形のようになぜこの部屋に居座らなくてはならない!
今までの主もそうだった!
売り買いを何度も繰り返されたが安息は未だ無い。
ただ希望がないよりはマシなのだ!
ハッキリ言おう!

使わないならヤフオクに出さないか?!



あらゆる家庭で
デシケられたカメラの悲鳴が
今日も聞こえてくる。


さて、デシケられたカメラの今後はどうなるか。