まめカメラ

まめのカメラブログ

カメラが好きな八王子在住 28歳のブログ

【自作寓話】王様のいたずら


ある夜、礼儀正しい王様が

ステーキを手掴みで食べ始めた。

いつもはきれいにナイフとフォークを使うのに。

執事たちは思いもよらない王様の行動にびっくりして

「お熱くはないですか?」

と王様を心配した。

王様は

「はぁ」

と大きなため息をついた。




次の日、王様は

先祖代々伝わる王家の壺を割った。

使用人が

「お怪我はありませんか?」

と粉々になった壺をほうきで片付けた。

王様はまた

「はぁ」

とため息をついた。




王様はその後も

屋敷の裏の林を燃やしたり

飼っている馬を逃がしたり

お酒を川に流したり、と

かつての礼儀正しい、皆が慕う王様では

なくなってしまった。




「王様はきっと退屈が過ぎて

おかしくなってしまったんだ。

何をしても最後には

大きなため息をついておられる。

王妃もいなければ、子供もいない。

この国は衰退する一方だ。」




使用人たちの心配を他所に

王様は次に街へ繰り出した。



大きな袋を肩に担いで

街で1番の塔の上まで登ると

勢いよく袋の中身をばらまいた。



それはお金であった。




突然、お金が空から降ってきたので

市民たちは驚き、我先にとお金を拾い集めた。



お金をばら撒き終わった王様が

塔から降りてくると

落ちたお金に目もくれず

ひとりの女が王様の目の前にあらわれた。





「こんなことしてないで

もっと王様らしくいなさい!」



その後、王様は礼儀正しい王様に戻った。

隣では王妃が

王様を毎日怒っている。







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大人になって、怒られるということがめっきり減りました。自分自身も何かに怒ることが減ったように思います。

大人になってからの叱咤は
大きな愛情か、ストレスの捌け口でしょう。

王様は金に目もくれず怒ってきた女に今生の愛情を感じたのでしょう。そんな人を求めてわざと怒られるようなことをしていたのでした。


怒ってくれる人こそ大切にしましょうね。