まめカメラ

まめのカメラブログ

カメラが好きな八王子在住 28歳のブログ

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今日は妻が実家にいるので孤独だ。いやはや、椎名林檎も歌っていたように「孤独とは言い換えりゃ自由」「自由を掴んで勝ち取った孤独 」。久しぶりの孤独。自由なんて言っては妻は怒ると思うが本当の自由は孤独でなければ得られないのだ。

 

少し前に知った吉祥寺のフイルムカメラ専門店に行ってみようと思い当たり、お昼すぎに家を出た。これまたつい最近配信開始されたドラクエウォークというスマホゲームをやりながら駅まで歩いてみたが、これは自分が指定した近場のスポットまで行くとクエスト完了といったものでそこまで歩きながら出てくるスライムやらなにやらを倒しながら進み、またスポットを指定するのだけれどひとつのスポットを完了したところで、これをやってなんになるのだと、ふと我に返ってしまうものだからポッケにしまい、諦めをつけ最寄りの駅へ向かうのだった。

 

吉祥寺に到着し、昼ごはんをササッと済ませ目当てのフイルムカメラ屋に入った。二階建てで1フロアに3部屋くらいの小さなアパート───しかし外装はヨーロッパ、特にイタリアを思わせるような黄色のような色々のようなセメントで出来たオシャレな───の一角にそのお店はあり、店内も6畳ほどの広さに僕の背丈ほどのショーケースが4つ並び、そこにカメラに陳列されていて、奥にももう一部屋あったがそこも6畳ほどの部屋でギャラリー用のようだった。すでに先客がおり、ショーケースの1つを食い入るように見ていて、たった1人の店員もその先客の対応をしていて、Nikonは不変のFマウントなどと言われるが爪なしレンズでは露出計連動が出来ないやら、恐ろしくボディが軽いやら力説している。ショーケースの幅は50センチほどしかないものだから、そして部屋の両側に2つずつ並んでいるものであるから、先客と店員ですでに2つは陣取られてしまっているので、僕は方側の2つを眺めたのだけれど、やはり店舗でメンテナンスされているだけあり比較的値段が高めであった。目当てのCanon demi17も24000円───以前シャッターの切れないこれを9000円ほどでヤフオクで落とした───もする。もう片方のショーケースは店員の力説により空く気配がないため店を出た。出口を開ける僕に向かって早々にありがとうございましたと告げたすぐにまた先客へ力説する声をドアが閉じるまで聞いた。店主のマスターベーション

 

駅前でストリートスナップをした。

 


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吉祥寺はかつて闇市であった名残もあり人1人歩ける程度の細い道が入り組んでいて、そこに様々なお店があり、なんだか日本ではないような、タイに行ったときの屋台街のような人間臭さが漂っていて僕は好きだと思った。

ひとしきりシャッターを切って、家の近くの喫茶店に入った。

 



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最近読み始めた川上未映子の小説、「乳と卵」。川上未映子作品はまだ2作目だがどちらも反出生主義的な意見が盛り込まれている。日常の中にこそ絶望があるのだけれどそこに答えはないのだけれど、あえてそこに触れ切り込んでいる。僕がストリートスナップを撮る目的と似通った部分がありすんなり文章を読んでいける。

 

そういえば、一人暮らしをしていた頃、こんな風に休日には喫茶店に来て太宰治江國香織の小説を読んでいたっけ、と思い出した。あの頃は孤独で、自由で、それでもなぜか喫茶店にいると何かに急かされているような、何かが待っているような気分になって、変に心拍数が上がって、不安になって店を出たことが何度かあった。今回はとても落ち着いていて何時間でもこの喫茶店に入れるような気がした。きっとあの頃は何も、誰も待っていない状況に焦っていたのだろう。今日は妻が待っていないけど、深層心理のどこかで待っていてくれる人がいるのだという安心があるのだろう、今は。そんなことを思いながら読了。

 

この世に生まれて良かったな、この時代に生まれて良かったな、だって、もし生まれるのが100年遅かったら全て電子書籍になってしまって、あの手にちょうど収まらぬ長方形も、乾いたページをめくる音も、本屋の独特の臭いも、感じられなかったかもしれないんだから。本があるこの時代に生まれて良かったな。せめても。

 

 

帰りに川上未映子の最新作「夏物語」を買って、毛皮のマリーズを聴きながら帰った。